心臓移植の歴史 【10】アレクシス・カレルの功績と移植の未来
- Yumiko Hosoda
- 8月24日
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章10:アレクシス・カレルの功績と移植の未来
初期の移植研究者の中で最も緻密な研究を行ったのは、血管手術の先駆者アレクシス・カレルであった。彼の器用さと想像力により、他の研究者たちが見落とした可能性を追求することができた。
シカゴ大学のチャールズ・ガスリーと共に、彼は小型犬の心臓を摘出し、それを大型犬の首の血管に吻合。手術後1時間で心臓は拍動を始め、その後2時間動き続けた。彼らは肺、腎臓、甲状腺、さらには両腕や両脚の移植も試みた。1908年には、ガスリーが2つの頭を持つ犬を作るという大胆な試みに挑戦。移植された頭は光や音に反応し、3時間の間意識を保ったのち、安楽死させられた。
これらの実験を通じて、臓器ごとの機能を理解しようとした研究者もいたが、カレルは移植を実用的な治療手段として真剣に捉えていた。彼は「摘出が必要な臓器は、すぐに健康な臓器で置き換えるのが理想である」と主張した。
この考えは当初非現実的と思われたが、カレルの上司サイモン・フレクスナーが1907年、アメリカ科学振興協会の会議で臓器交換の未来を語ると、新聞は驚きとともに「人間にも心臓移植が可能になる」と報じた。

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