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心臓移植の歴史 【25】チンパンジー心臓の準備と倫理的葛藤

  • 執筆者の写真: Yumiko Hosoda
    Yumiko Hosoda
  • 2025年12月7日
  • 読了時間: 2分

章25:チンパンジー心臓の準備と倫理的葛藤


ハーディは予備手段として、数週間前からチンパンジーの心臓を用いる準備を進めていた。彼はニューオーリンズで腎移植専門医のキース・リームツマを訪ね、サルの腎臓移植の臨床応用について情報を得ていた。リームツマは、人間の腎臓提供者が限られていたことから、チンパンジーの腎臓を移植する実験を成功させていた。

ハーディはこの発想に感銘を受け、チンパンジーの心臓も臨時の代替手段として使えるかもしれないと考えた。彼は4頭のチンパンジーを購入し、心拍出量などを測定。最も体格の大きい1頭の心臓は、1分間に約4リットルの血液を送り出す能力があり、小柄な成人であれば生存可能と判断された。

ラッシュの容体は悪化し、呼吸は機械的補助なしでは維持できない状態に陥っていた。その晩、ハーディは3人のドナー候補のうち、心停止が迫っている者がいないことを確認し、代替案として準備していたチンパンジーの心臓を使用する決断を下す。

大型のチンパンジーが麻酔下で準備され、ラッシュが手術台に運ばれた時、彼の脈拍は不整で血圧は測定不能なほど低下していた。彼はほとんど意識を失っており、麻酔もわずかで済んだ。ハーディが胸を開こうとしたとき、ラッシュの心臓は停止。迅速に人工心肺に切り替えられ、手術が開始された。





【用語解説】


ドナー(どなー)

移植術で、臓器を提供する側の人をドナーと呼びます。一方、臓器を受け入れる側の人をレシピエントと呼びます。






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