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心臓移植の歴史 【25】チンパンジー心臓の準備と倫理的葛藤
章25: チンパンジー心臓の準備と倫理的葛藤 ハーディは予備手段として、数週間前からチンパンジーの心臓を用いる準備を進めていた。彼はニューオーリンズで腎移植専門医のキース・リームツマを訪ね、サルの腎臓移植の臨床応用について情報を得ていた。リームツマは、人間の腎臓提供者が限られていたことから、チンパンジーの腎臓を移植する実験を成功させていた。 ハーディはこの発想に感銘を受け、チンパンジーの心臓も臨時の代替手段として使えるかもしれないと考えた。彼は4頭のチンパンジーを購入し、心拍出量などを測定。最も体格の大きい1頭の心臓は、1分間に約4リットルの血液を送り出す能力があり、小柄な成人であれば生存可能と判断された。 ラッシュの容体は悪化し、呼吸は機械的補助なしでは維持できない状態に陥っていた。その晩、ハーディは3人の ドナー 候補のうち、心停止が迫っている者がいないことを確認し、代替案として準備していたチンパンジーの心臓を使用する決断を下す。 大型のチンパンジーが麻酔下で準備され、ラッシュが手術台に運ばれた時、彼の脈拍は不整で血圧は測定不能なほど低下して
2025年12月7日


心臓移植の歴史 【24】ボイド・ラッシュへの手術とチンパンジーの心臓移植
章24: ボイド・ラッシュへの手術とチンパンジーの心臓移植 この空振りの後、1週間も経たないうちにハーディはついに本物の手術を行うことができた。1964年1月17日、ボイド・ラッシュという68歳の男性が、極度に悪化した循環不全で病院に運び込まれた。長年の高血圧により、彼の両足には 壊疽 が生じ、切断を余儀なくされていた。 循環器科の医師たちは、もはや移植しか望みがないと結論づけた。そして1月23日の夕方、ラッシュの心臓機能が急激に低下し始めた。ハーディは3人の潜在的な臓器提供者を選定した。彼らはいずれも脳損傷のため人工呼吸器に接続されていたが、依然として法的には「生存中」であった。 ハーディは、人工呼吸器を外すことで心停止を誘導すれば、殺人と見なされる可能性があることを理解していた。したがって、彼は「自然死した」ドナーの心臓しか使用しないと決意していた。しかし、必要なタイミングでそのような状況が訪れる可能性は極めて低いと見ていた。 【用語解説】 壊疽(えそ) 血流不全や破傷風菌などの感染によって、体の一部の組織が機能しなくなること。皮膚や筋肉が黒
2025年12月1日


心臓移植の歴史 【23】メディアの報道と幻の手術
章23: メディアの報道と幻の手術 1964年1月18日、世界中の新聞が一斉に報じた。「人間の心臓が移植された」──。 「人間にもう一つの心臓を移植するという挑戦的な試みがこの金曜日、ミシシッピの外科医たちによって行われた。移植した心臓は1時間の間機能した。これは世界で初めて成功した人間の心臓移植として知られるのだ。心臓は死亡した人物からのものだ。心臓は生き返り、そして心不全で死の淵にあった人の胸部に植え込まれたのだ。」 ──だが、これは事実ではなかった。病院スタッフの一人が、準備が整ったことを報道陣に漏らしたために起こった誤報だった。ハーディは実際には、患者の胸を開いた時点で通常の外科的修復で十分と判断し、移植手術そのものは行わなかったのだ。 とはいえ、この出来事は予行演習となった。手術そのものを除き、心臓移植のすべての手順をチームが経験したからである。
2025年11月30日


【イベントレポート】「ハートキッズ教室2025 in 愛媛」が開催されました
2025年10月11日、愛媛県松山市にて「ハートキッズ教室 2025 in 愛媛」を開催しました。今回は、認定NPO法人ラ・ファミリエさんとの共催により、四国で初めての開催となりました。 当日は、心臓病をもつお子さんや、医療に関心のある子どもたちが多数参加。会場には、愛媛大学の医学部生や医師の皆さんもボランティアとして駆けつけてくださり、地域の医療と子どもたちがつながる一日となりました。 小さな手で挑む、本物さながらの医療体験 ハートキッズ教室は、心臓の仕組みを学びながら、本物の医療器具を使った模擬手術に挑戦できる体験型学習プログラムです。 まずは、心臓の形や働きについて理解を深める3D心臓ペーパークラフトづくりからスタート。カラフルに色分けされたペーパークラフトで、心臓の作りや血液の流れを学びます。 その後は、医療用ガウン・手袋・マスクを身につけて模擬縫合体験へ。本物の手術器具を手にした瞬間、子どもたちの空気が一気に引き締まります。 「針を通すのが難しい!」 と、不安を覗かせながらも、外科医さながらの細かな動作に挑戦する姿は真剣そのもの。...
2025年11月20日


心臓移植の歴史 【22】臨床応用直前の挑戦と心臓移植の準備段階
章22: 臨床応用直前の挑戦と心臓移植の準備段階 1964年までには、シャムウェイは手術の外科的な要素はすべて揃ったと感じていた。病変のある心臓を取り出して新しい心臓を縫い付ける手術は、比較的確実に行えるようになっていた。...
2025年11月16日


心臓移植の歴史 【21】拒絶反応という最大の壁
章21: 拒絶反応という最大の壁 この画期的な成功は、臓器移植における技術的困難を克服した一方で、依然として最大の障壁が残されていることも明らかにした。それが「拒絶反応」である。 リチャードのケースでは拒絶反応は起こらなかったが、一般的には他人の臓器は体にとって“異物”と見...
2025年11月9日


心臓移植の歴史 【20】一卵性双生児の腎移植と長期生存
章20: 一卵性双生児の腎移植と長期生存 マレーの患者はリチャード・ヘリックという青年で、彼は末期の腎不全に苦しんでいた。幸運にも、彼にはロナルドという一卵性双生児の兄弟がいた。ロナルドは、自らの腎臓の一つを提供することを快く引き受けた。...
2025年11月2日


心臓移植の歴史 【19】腎移植の先駆者たちと臓器移植の希望
章19: 腎移植の先駆者たちと臓器移植の希望 心臓移植の研究者たちはまた、別の臓器での進歩に支えられた。腎臓移植の試みはその頃よりさらに増え、1951年にはフランスの外科医が摘出した腎臓を用いた多くの手術を行った。議論の的となったのは、それらの腎臓が処刑された囚人ものであっ...
2025年10月26日


「ハートキッズ教室2025 in 愛媛」が愛媛新聞・テレビにて紹介されました
2025年10月11日に開催した 「ハートキッズ教室2025 in 愛媛」 の様子が、愛媛新聞、愛媛朝日テレビ、愛媛CATVで取り上げられました。 📺 イベントの様子を動画でご覧ください 愛媛CATVで放送された内容がYouTubeでご覧いただけます。 子ども達が真剣に模擬手術に取り組む様子、医療従事者との交流など、イベントの臨場感が伝わる映像となっています。 ▼ こちらからご覧ください たうんニュース2025年10月「ハートキッズ教室2025in愛媛」 https://youtu.be/t0GmDBFnEHY?si=ihWdi1bptp4u00Xs 子ども達の真剣な表情と、体験の様子をぜひ動画でご覧ください。
2025年10月19日
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